確定拠出年金は何を選ぶかで将来が変わる? 月2.3万円を38年間積み立てた結果
「NISAは始めたけれど、確定拠出年金は何を選べばいいのか分からない」
そんな状態のまま、掛金だけを払い続けていませんか。
NISAは、必要になれば引き出せる柔軟さが魅力です。一方、確定拠出年金は原則60歳まで引き出せない分、「何を選ぶか」の影響が、長い時間をかけて積み上がります。NISAとどちらが良いという話ではなく、確定拠出年金の商品の選び方の話です。
この記事で言いたいことは、次の3つです。
- 同じ積立でも、選ぶ商品しだいで38年後は約3,600万円違う(仮定の試算)
- 大事なお金ほど安全な選択に寄せがちだが、長い時間を味方につける考え方もある
- 選べる商品も途中で変わるので、定期的に見直す
月2.3万円を38年積み立てたらどうなるか
想定は、企業年金のない会社員が、22歳から60歳まで毎月2.3万円を積み立てるケースです。個人で加入する個人型(iDeCo)の上限(月2.3万円)を使った、おっさん自身の実績ではない仮定の試算です。
運用の年率を6パターンに変えて、38年後の金額を計算しました。
| 年率の仮定 | 38年後 | 元本比 |
|---|---|---|
| 7% | 約4,914万円 | 4.68倍 |
| 5% | 約3,040万円 | 2.90倍 |
| 3% | 約1,935万円 | 1.84倍 |
| 1% | 約1,274万円 | 1.21倍 |
| 0.5% | 約1,155万円 | 1.10倍 |
| 0% | 約1,049万円 | 1.00倍 |
※毎月末に23,000円を456回(38年)積み立てた場合。元本は約1,049万円。年率は「1年で資産がその率で増える」と仮定して月利に換算。税金・手数料・インフレは考慮していません。将来の成果を約束するものではありません。
同じ掛金、同じ38年間でも、年率の仮定が7%か1%かで、約3,640万円の差が出ます。「7%なら必ずこうなる」という意味ではなく、仮定が違うとここまで開く、という比較です。
年率7%は、全世界株式の指数(MSCI ACWI)の、2000年末から現在までの年率が約7.4%だったことをもとにしています。米ドル建てで、手数料を引く前の数字です。直近10年は年率12%超と好調でしたが、この先も同じとは限りません。
なぜ長期になるほど差が広がるのか
差が開く理由は、複利です。増えた分にも、次の運用益がつくからです。
横軸は積み立ての経過年数、縦軸は資産額です。濃い線が年率7%、薄い線が年率1%、破線が積み立てた元本で、2本の線にはさまれた部分が差です。
差は、10年目で約103万円、20年目で約557万円、30年目で約1,725万円、38年目で約3,640万円になります。最初の10年は差がまだ小さく見えますが、差の半分以上は、最後の8年で生まれます。
年率7%の場合、最初の10年の運用益は約117万円、最後の10年は約2,340万円で、約20倍です。あなたなら、10年目の時点で「あまり増えていない」と感じて、続けられるでしょうか。
大切なお金だからこそ、時間を味方につける
老後のための大事なお金だからこそ、安全な資産に寄せたくなる。これは自然な気持ちです。
元本確保型の1年定期は、現在0.5〜0.55%前後です(2026年10月1日時点の民間メディアの集計で、利率は変動します)。表の0.5%の行は、この水準に近いものです。1%の行はそれより少し高い水準です。元本割れしにくい一方で、38年後は約1,155万円と約1,274万円で、7%の仮定とは3,600万円以上の差が開きます。
おっさんの世代は今ほど情報がなく、商品名に「バランス」とついた銘柄を選ぶ人が多い印象でした。ただ、バランス型の中身は商品によって大きく違い、低リスクとは限りません。名前だけでなく、中身を確認することが大切です。
では、長い時間は何を変えてくれるのでしょうか。次の図は、米国株(S&P500、配当再投資、米ドル建て・名目)を毎月積み立てた場合の年率を、保有年数ごとに、最小から最大まで示したものです。1871年から2026年6月までの、すべての開始月から集計しています。
図は米国株の過去データで、将来を保証するものではありません。米国株は歴史的に好調だったため、平均は本記事の試算の年率7%より高めです。
5年では-42.1%〜+37.3%と大きくばらつきますが、20年では-0.3%〜+18.4%、38年では+4.0%〜+13.6%と、幅が狭まっています。平均は、どの保有年数でも年率9.5〜9.9%程度でした。15年や20年でもマイナスの期間はありましたが、25年以上は、このデータの中ではどの開始月でもプラスでした。
「長期なら必ず安定する」とは言えません。それでも、安全に見える選択にも、増えにくいという代償があります。時間を味方につけられるかどうかは、商品選びで考えたい大切な視点のひとつだと、おっさんは考えています。
おっさんの体験:商品が変わることもある
会社員時代から続けてきた確定拠出年金では、海外株式のインデックスに投資しています。運用期間が長いので、ラインナップの中で期待できるリターンがいちばん高いと考えた商品を選びました。
背景には、確定拠出年金は運用中の運用益に税金がかからないので、非課税の枠にはリターンの高い商品を、税金がかかる枠(特定口座など)にはリターンが相対的に低い商品を選ぶほうがよい、というおっさんの考え方があります。
あるとき、保有している商品の1つが運営管理機関のラインナップから外れたため、新しい掛金は別の商品に切り替えました。外れた商品は今も保有していて、評価益は+168%台、元本の約2.7倍です(2026年10月時点)。
ここで気づいたのは、一度選んだら終わりではないということです。選んだ理由が同じでも、選べる商品そのものが変わることがあります。長期で持つつもりでも、定期的な見直しは必要です。
制度は変わる
2026年12月の改正で、個人型(iDeCo)の企業年金のない会社員の月額上限は、2.3万円から6.2万円になる予定です(厚生労働省Webマガジン、2026年10月20日公開)。掛金は全額が所得控除になり、運用益は非課税という税制の基本は変わりません。上限が上がれば、商品選びの影響は、さらに大きくなります。
まとめ
- 月2.3万円を38年積み立てる仮定の試算では、年率の仮定により結果が約3,640万円変わる
- 差は後半に開く。最後の8年で、差の半分以上が生まれる
- 安全に見える選択には、増えにくいという代償がある。時間を味方につける視点も大切
- 選べる商品は変わることもあるため、定期的に見直す
手数料も、保有している間ずっとかかるコストです。運営管理機関の商品一覧で確認してください。
誰かに言われた通りに選ぶのではなく、仕組みを理解して、自分で選ぶこと。それが、長期運用でいちばん大切なことだと、おっさんは考えています。
この記事の試算は、仮定にもとづくものであり、将来の運用成果を示すものではありません。商品の選択は、ご自身の判断で行ってください。
⚠️ 投資リスクに関するご注意 投資には元本割れのリスクがあります。本連載は個人の経験に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。実際の投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家にご相談ください。