【第6回】退職直後に大暴落したら?50代早期退職の資産寿命をストレステストしてみた
前回の記事:【第5回】生活費が毎年2%ずつ増えたら?資産寿命をシミュレーションしてみた
前回は、物価を入れただけで、90歳まで持つ確率がかなり下がることを見ました。最終回は、一番怖いケース、退職直後の暴落を試します。物価は動かない前提(第1〜4回と同じ)に戻します。
暴落の置き方
第3回の順序リスクの、極端なケースです。仮定であり、予測ではありません。以下、「今回の暴落シナリオ」と呼びます。
- 退職後1年目に、リスク資産が−30%
- 2年目に、−15%
- 3年目以降は、これまでどおりのランダム
安全資産は年1%のままです。取り崩し方は、第4回のおっさんのルール(C)を使います。
収入を増やすと、どこで持ち直すか
収入を20万円刻みにして、90歳まで持つ確率を見ました。通常と暴落ありを比べた結果は、次の図のとおりです。
暴落ありでも、収入が増えるにつれて大きく上がり、140万円あたりで50%を超えました。200万円では、約9割(88.5%)です。収入0円だと、通常の52.0%が、暴落ありでは1%未満まで下がりました。
収入が増えるほど、暴落で減った分を補いやすくなる、ということだと考えられます。
「働いて稼ぐ」は、最初からの本音
ここまで読んで、「結局、働けばいいという話?」と思われたかもしれません。
でも、これが、おっさんの本音でした。暴落が来たら、リスク資産を売らずに済むよう、働いて稼ぐつもりでいたのです。第1回の問い「辞めたあと、年にいくら稼げばいいのか」への、答えそのものです。
今回の暴落シナリオでは、年100万円はかなり厳しく、年200万円で持ち直すケースが大きく増えました。元々考えていた「暴落時は、年200〜300万円ほど働いて稼ぐ」という方針と、結果として重なりました。
シリーズの結論
- 平時なら、収入ゼロは五分五分(52.0%)、年100万円で86.4%
- 今回設定した暴落シナリオでは、年100万円はかなり厳しく(21.0%)、年200万円で持ち直すケースが大きく増えた(88.5%)
- 取り崩し方は、確率だけでなく、残高の厚みも見る必要があった
「辞めた判断は無条件に正しかった」とは、言えません。収入、つまり働いて稼ぐ余地を前提にして、辞める判断が成り立つと考えた。これが、おっさんの結論です。仮定を置いた実験の結果であり、将来を保証するものではありません。
これから
今回のモデルは、株式と安全資産の、単純な2分割です。気になっている本があります。『AIバブル後の投資戦略 真の分散投資を求めて』(中村仁 著、ダイヤモンド社、2026年7月刊)です。出版社の紹介では、AIバブル崩壊への備えや、債券なども組み合わせた分散を扱う本とされています。いま読んでいる最中で、取り入れるべき考え方があるか、検討するつもりです。
もう一つ。実際の人生は、シミュレーションどおりには進みません。だから、MoneyForwardの実績データを、シミュレーションと突き合わせながら、収支を調整していくつもりです。ただ、正直に書くと、その突き合わせがいまはうまくいっておらず、苦戦中です。詳しくは、別の記事で書きます。
連載の記事:
- 【第1回】50代で会社を辞める前に考えたこと。90歳まで資産を持たせるには、年間いくら稼げばいい?
- 【第2回】そもそも、その計算方法でいいのか?「平均3%」だけでは、現実を表せなかった
- 【第3回】さらに怖いものがある。平均リターンが同じでも結果が変わる「順序リスク」
- 【第4回】では、取り崩し方を工夫したら?カン・チュンドさんの考え方を参考に、出口戦略を試してみた
- 【第5回】生活費が毎年2%ずつ増えたら?資産寿命をシミュレーションしてみた
これは、おっさんの自由研究の、ほんの一部です。ほかの記事も、よければ覗いていってください。
⚠️ 投資リスクに関するご注意 投資には元本割れのリスクがあります。本連載は個人の経験に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。実際の投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家にご相談ください。