AIで雨通知を作った。でも、本当に必要だったのは『止める機能』だった

AIで雨通知を作った。でも、本当に必要だったのは『止める機能』だった

洗濯物を干して出かけたら、帰り道で雨が降ってきた。

そんな経験、ありませんか。おっさんは2026年9月、何度かやってしまいました。

この年の9月は雨が多く、干している間に降られることが続いたのです。そこで「雨が近づいたら、LINEで知らせてくれる仕組み」を作ることにしました。

雨通知を作ろうと思った理由

天気アプリは便利です。ウェザーニュースのように、ピンポイントで天気を見られるものもあります。雨雲が近づくと知らせてくれる「雨雲アラーム」という機能もあります。

ただ、おっさんが使った範囲では、自宅に雨が降り出す前に、思った形で知らせてもらう設定は見つけられませんでした。結局、天気を見に行くことになります。洗濯物を干しているときに、わざわざ天気を見に行くかというと、正直なところ見に行きません。

だから、知らせてもらう側に回ることにしました。

9月中旬に、MVPを作りました。MVPとは、まずは最低限の機能だけを実装した試作品のことです。

仕組みは次のとおりです。

  • Yahoo!の天気情報API(非商用の個人利用が認められていて、おっさんの場合は費用はかかっていません)で、自宅の地点の雨予報を5分おきに確認する
  • 約1時間先までの降水予測を見て、雨が15分以内に迫るとLINEに通知する
  • 強い雨なら、文面を強める
  • 同じ雨では、通知は1回だけ

市区町村単位の降水確率ではなく、自宅の地点そのものの予測を使うのが特徴です。「この町は午後から雨」ではなく「この家に、あと15分で降る」が分かります。

最初は、これで十分だと思っていました。

便利なはずの通知が、煩わしくなった

使い始めてしばらくすると、困ったことが起きました。

洗濯物を取り込んだあとも、雨が近づくたびに通知が来るのです。

もう取り込んである。干してもいない。それでも「雨が近づいています」と知らされます。最初はありがたかった通知が、だんだん「分かってるよ」と言いたくなる存在になりました。

ここで気づきました。

通知を受け取りたいときもあれば、止めたいときもあります。通知を送るだけの仕組みは、使う人の状況が変わったことに対応できません。

作ったときは「雨を知らせる」ことしか考えていませんでした。でも本当に必要だったのは、知らせることと同じくらい「もう要らないよ」と伝える手段だったのです。

10月下旬、返信で通知を止める機能を追加

そこで10月下旬に、通知にLINEで返信すると止まる機能を追加しました。

「取り込んだ」と返信すると、その日は以降、通知しません。通知には「取り込んだ」「今日は干してない」のボタン(LINEのクイックリプライ)も付けました。タップでも、文字を打って返信しても動きます。

朝のうちに「今日は干さない」と送っておけば、その日は最初から止まります。止めた状態は翌日に自動で解除されるので、再開のために何かする必要はありません。

返信には、状況に合わせた一言も返します。たとえば「取り込み了解です。今日はもう通知しません」といった具合です。

雨通知と停止の仕組みの概念図: 自宅PCが雨予報を確認してLINEに通知し、利用者がLINEで返信すると、Cloudflare Workersの受け口が返信を判定して「今日は止める」の印を日付つきで保存する。次の通知前に自宅PCが印を確認し、あれば送らない。受け口に届かないときは止めずに通常どおり通知する

返信を受け取る「受け口」が必要だった

LINEの返信を受け取るには、LINE側から呼び出せる、ネット上の受け口が要ります。自宅のPCは、外から直接つなげないからです。

そこで、Cloudflare Workers(無料枠で動かせる、小さなプログラムの置き場)に受け口を作りました。

流れはこうです。

  1. 受け口が返信を受け取り、内容を判定する
  2. 止める返信なら、「今日は止める」の印を日付つきで保存する
  3. 通知する前に、自宅PC側がその印を確認する
  4. 印があれば、通知を送らない

受け口に届かないときは、止めずに通常どおり通知します。止めたいのに鳴るのは煩わしいだけですが、止めてはいけないときに止まると洗濯物が濡れます。見逃すより、煩わしいほうがましだと判断しました。

判定は、ルールとAIの使い分け

返信の判定は、2段階にしました。

まず、ルールで判定します。「取り込んだ」「取込んだ」「とりこんだよ」「しまった」といった表記ゆれは止める返信として扱います。「取り込んでない」「まだ」「取り込んだ?」のような返信は止めません。

ルールで決まらない返信だけ、AI(Gemini)に任せます。軽量なモデルに「取り込み済み/干していない/未完了/その他」の4つに分類させます。AIが失敗したときは、止めない側に倒します。

単純な処理はルールで、言葉の意味を判断する部分だけAIで。この使い分けが、いちばん安心でした。

動作確認

作ったあとは、一通り動くことを確認しました。

  • 雨が近づくと、LINEに通知が来る
  • 通知にボタンが表示される
  • 「取り込んだよ」と返信すると、Botが返事を返す
  • その日は、以降の通知が止まる

天気情報の取得から、通知、返信で止まるところまで、すべて動作することを確認しています。

今回学んだこと

雨通知は、作るだけなら比較的かんたんでした。むずかしかったのは、作ったあとの暮らしの中で見えてきたことです。

自動化は、自動で実行できれば完成ではありません。使う人の都合が変わったときに、簡単に止めたり、再開できることも大切です。

今回は、返信ひとつで止まり、翌日には自動で戻る形にしました。止める手間を最小にしておけば、通知を「うるさいから切る」のではなく、「必要なときだけ受け取る」ものにできます。

あなたの身の回りにも、便利なはずなのに、いつの間にか煩わしくなった通知はありませんか。それは、止め方まで設計されていなかっただけかもしれません。

これは、おっさんの自由研究のほんの一部です。ほかにも、日々の暮らしに役立つ自動化の試行錯誤を記録しています。よければ、AI活用カテゴリの他の記事ものぞいてみてください。