老人ホームに入った親の買い物を、自動で精算管理するようにした

老人ホームに入った親の買い物を、自動で精算管理するようにした

両親が老人ホームに入居しました。

入居すると、意外と細かい買い物が発生します。「これが必要です」「〇〇を用意してください」「これを買ってきてもらえますか」。施設からそう言われて、必要なものをおっさんが買って渡すことがよくあります。

もちろん、親のお金で購入するものなので、いったんおっさんが立て替えて、あとから精算します。金額そのものは、それほど大きくありません。数百円、数千円といった買い物が中心です。

でも、これが積み重なってくると、ちょっと面倒です。

面倒なのは買い物より「あとから説明すること」

一番面倒なのは、実は買い物そのものではありません。あとから、何を買ったのか、いつ買ったのか、いくらだったのか、これは親のお金で精算するものなのか、兄弟に共有したか、すでに精算済みなのか、といったことを確認する作業です。

特に兄弟で親のお金を管理している場合、「これは何の支出?」「この金額は何?」「レシートある?」という話になる可能性があります。金額が小さいからこそ、いちいち説明するのも面倒です。

そして何より、お金のことで兄弟間に変なわだかまりを作りたくありません。

そこで、できるだけ機械的に記録を残すことにしました。

仕組み:レシートをスキャンしてフォルダに入れるだけ

やりたいことはシンプルでした。レシートをスマホの「Adobe Scan」アプリで撮影してPDF化し、決めておいたフォルダに入れる。ここから先を自動化しました。

父用・母用、それぞれ専用の「受付」フォルダを用意していて、おっさんがやることはそこにファイルを放り込むだけです。ファイル名は何でも構いません。日付や金額はファイル名からではなく、レシートの中身から読み取る仕組みだからです。PDFだけでなく、スマホで撮った写真(PNG・JPGなど)をそのまま置いても認識してくれます。

放り込んだあとは、ツールがGoogleのGemini APIを使ってレシートやAmazonの注文明細を解析し、①日付、②金額、③代表的な品目(例:のど飴、オムツ)、④種別(例:生活用品、医療費)を読み取り、Excelの台帳に自動で記録してくれます。

金額の読み取りでは、地味に大事な工夫をしています。「小計」ではなく「最終的に支払った金額」を拾うよう、明示的に指示していることです。例えばAmazonの注文明細には割引が入ることがあり、「注文合計」の金額と実際の「ご請求額」がずれます。そこを間違えると精算額そのものが狂ってしまうので、割引が入っている実データでも正しく請求額の方を拾えることを確認したうえで運用しています。

迷ったものは、自動で「要確認」に回す

ここは今回の仕組みで、地味に一番こだわった部分です。

AIによる読み取りは便利ですが、100%正確とは限りません。もし自信のない読み取り結果をそのままExcelに記録してしまったら、かえって記憶より信用できない記録になってしまいます。それでは本末転倒です。

そこで、同じレシートを2回、独立してAIに読み取らせるようにしました。2回の結果で金額が一致しなければ、自動的に「要確認」扱いに格下げします。日付や金額がうまく読み取れない場合や、AI自身の確信度が低い場合も同様です。

要確認になったファイルは、ファイル名の先頭に「要確認_」が付いた状態のまま、受付フォルダに残ります。Excelには書き込まれず、自動処理の対象からも外れるので、見た目上放置していても、再処理で誤って登録されてしまう心配はありません。原因がAPI側の一時的な混雑など、たまたまのものであれば、「要確認_」を外すだけで、翌日にはまた自動で拾ってくれます。手書きの領収書など、レイアウトが特殊で読み取り自体が難しいものは、中身を見ておっさんが手動でExcelに書き足しています。

レシートとExcelを、番号でつなげておく

登録が確定すると、Excel台帳の「領収書No.」列の最大値に1を足して自動採番します。そして、ファイル名を「YYYYMMDD_番号_品目名」の形にリネームしたうえで、父用・母用それぞれの最終保管フォルダへ移動します。Excel側にも同じ番号を記録しておくので、「このExcelの行の元のレシートを見たい」と思ったら、その番号のファイルをフォルダから探せばいいだけです。

Excelを見る→この支出のレシートを確認したい→紐づけられたファイルを開く、という流れです。数か月後に兄弟から「この〇〇円って何だっけ」と聞かれても、「〇月〇日に〇〇を購入した分です。これがそのレシートです」とすぐに確認できます。記憶に頼らなくていい。これだけで、かなり気が楽になります。

意識しなくても、毎日勝手に回っている

このツールは、毎日深夜0時に自動実行されます。おっさんが何もしなくても、受付フォルダにレシートが置かれていれば、その日のうちに読み取られ、記録され、移動されます。

登録が完了した日、または要確認になったものが1件以上あった日だけ、LINEに通知が届きます。何もない日は通知もありません。無駄な通知を増やさない設計にしています。

なお、父と母は完全に別々のフォルダ・別々のExcel台帳で管理していて、混ざることはありません。

運用を始めてからは、日用品や施設への支払いなど、父・母それぞれの細かい立て替えが、数百円から数千円クラスのものも含めて、日々自動で記録として積み重なっています。

大げさなシステムではなく、記録を残すだけ

今回作った仕組みは、決して高度なものではありません。レシートをスキャンして、決められたフォルダに入れる。あとはツールが内容を読み取って、Excelに記録する。それだけです。

でも、こういう「毎回やると地味に面倒な作業」こそ、自動化の効果が大きいと感じます。1回あたり数分の作業でも、「今日は忙しいから後でやろう」となると、レシートがどんどん溜まっていきます。だったら、買い物をした時点でスキャンして放り込んでしまえばいい。あとは機械にやってもらう。

大げさな経理システムを作りたかったわけではありません。親のお金を使っている以上、「ちゃんと記録しておく」ということだけを意識しています。

おわりに

今回の仕組みは、世間一般から見れば大したシステムではないと思います。それでも、自分の生活の中にある「これ、毎回ちょっと面倒なんだよな」という作業を一つ潰せたことは、地味にうれしいです。

特に今回は、単なる効率化だけでなく、親のお金を扱う以上「あとから誰が見ても分かるようにしておく」ことにも意味があります。兄弟でお金のことで揉めないためにも、記憶ではなく記録を残す。そして、その記録と実際のレシートを紐づけておく。

介護生活の中には、書類の整理、レシートの管理、支払いの記録、施設からの連絡の整理、家族への報告、必要なものの管理など、細かい事務作業がたくさんあります。一つ一つは大したことではありませんが、それが毎月、毎年積み重なっていきます。

こういう「小さな面倒」を少しずつAIや自動化で減らしていく。これからの介護では、こういう使い方もかなり現実的なのではないかと思っています。