【第1回】50代で会社を辞める前に考えたこと。90歳まで資産を持たせるには、年間いくら稼げばいい?
「会社を辞めたら、その後の収入はどうなるんだろう」
早期退職を考えたことがある人なら、一度は頭をよぎる不安だと思います。おっさんもそうでした。
この夏に会社を辞めましたが、辞める前に一番気になっていたのは、「何歳で辞めるか」ではありません。「辞めたあと、年にいくら稼げばいいのか」でした。
この連載について
おっさんは退職前に、「90歳まで資産が持つか」をシミュレーションで確認していました。この連載は、退職前に行った検証を、退職後の実データで計算し直した記録です。全6回で、順番に見ていきます。
最初にお断りしておくと、これは「早期退職をおすすめする」話でも、「この金額があれば大丈夫」という話でもありません。ある条件を置いて計算してみたら、こうなった、という自由研究です。
検証に使った前提条件
まず、計算の土台になった条件です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 50歳から90歳まで(40年) |
| 資産 | インデックス投資を積み上げて、小金持ち山(リベラルアーツ大学(リベ大)が紹介している区分で言う、純金融資産5,000万円以上)に登頂できた状態 |
| 運用配分 | リスク資産60%(平均年3%(仮定))/安全資産40%(年1%) |
| 取り崩し方 | リスク資産が好調な年はリスク資産から、不調な年は安全資産から取り崩す(第4回で詳しく) |
| 生活費 | 年300万円(物価は動かない前提。第5回で外します) |
| 住宅ローン | 58歳頃に完済する住宅ローンあり |
| 教育費 | 学生の子ども2人分の学費 |
| 年金 | 65歳から夫婦合算で年約280万円(いまの物価での額) |
| 収入 | 50歳から65歳になるまでの15年間、毎年、年0〜200万円を変数にする |
ここでいう収入は、退職後に働いて得る収入のことです(年金は別です)。
主役は、一番下の収入です。「辞めたあと、年にいくら稼げばいいのか」を知りたかったので、ここだけを0円から200万円まで動かしました。
「平均3%で増える」と置くだけでは足りなかった
いちばん簡単なのは、表計算ソフトで「運用は毎年3%で増える」と置くやり方です。ただ、この置き方だと、答えは「90歳まで持つ」か「持たない」かの二択にしかなりません。
でも、実際の運用は、毎年上下します。おっさんが知りたかったのは、二択の答えではなく、「どれくらいの確率で持つのか」でした。
そこで使ったのが、モンテカルロシミュレーションです。毎年の運用成績を乱数で振りながら、50歳から90歳までの40年間を、1万回繰り返します。実際に、1万回計算しました。そして、「90歳まで資産が残った人生が、何割あったか」を数えます。
仕組みの詳しい話は、次回に回します。今回は、出てきた答えを見てください。
収入を変えてみた結果
収入だけを変えて、90歳まで資産が持つ確率を計算しました。
| 収入(年) | 90歳まで資産が持つ確率 |
|---|---|
| 0円 | 52.0% |
| 50万円 | 71.5% |
| 100万円(月8万円ほど) | 86.4% |
| 150万円 | 95.4% |
| 200万円 | 99.0% |
意外だったこと
この結果を見て、おっさんが意外に思ったことが2つあります。
1つ目は、収入がゼロだと、今回の仮定では五分五分だったことです。
資産は小金持ち山に登れる水準まで積み上げていました。それでも、収入がなければ、90歳まで持つ確率は約半分です。40年という長さの重みを、あらためて感じました。
2つ目は、年100万円の収入で、確率が86.4%まで上がったことです。月にすると8万円ほどです。
もちろん、年100万円を稼げるかどうかは、人によってまったく違います。ただ、「月に8万円」と言われると、「ゼロか、フルタイムで働くか」の二択ではない、という感覚になりました。退職前に行った検証でも、収入が確率を大きく左右するという同じ傾向は見えていて、おっさんの不安は、そのとき少し具体的になった気がします。
大事な注意
ここで、念のため書いておきます。
この確率は、将来を予測したものではありません。「この条件を置いたら、こうなった」という実験の結果です。置いた条件が変われば、数字も変わります。
そして、この計算は、ここまでの「平均3%」という前提の上に立っています。この前提をそのまま信じていいのかどうかは、別の問題です。
次回:その計算方法は、本当にいいのか
「平均3%って、毎年3%ずつ増えるわけじゃないよね?」
そう思った方は、鋭いです。おっさんも、同じ疑問を持ちました。
次回は、この「平均3%」という前提そのものを疑ってみます。株価は、年によって上がったり下がったりします。その振れ幅を、どう計算に入れたのか。
次回の記事:【第2回】そもそも、その計算方法でいいのか?「平均3%」だけでは、現実を表せなかった
全6回の連載の、まだ入り口です。よければ、次回もおつきあいください。
⚠️ 投資リスクに関するご注意 投資には元本割れのリスクがあります。本連載は個人の経験に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。実際の投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家にご相談ください。