AIに仕事をさせるのか、AIに仕事を仕切らせるのか
最近、AIを使っていると、ちょっと不思議な感覚になることがあります。
AIに、
- 「これを調べて」
- 「これを整理して」
- 「この方法でやって」
と指示しているはずなのに、いつの間にか、
- 「次はこれを確認してください」
- 「この情報が足りません」
- 「次に○○をしてください」
と、AIから指示されている。
「あれ? 俺がAIを使っているんだよな?」
と、ふと思うことがあります。
本来は「人間が主、AIが従」のはず
AIを仕事に取り入れるとき、おっさんはなんとなく、
- 主:人間
- 従:AI
という関係を想像していました。
人間が仕事を考え、その一部をAIにやらせる。AIはあくまで「便利な道具」。
ところが、AIを使い込んでいくと、少し様子が変わってきます。
AIに仕事を任せると、AIのほうから、
- 「こうしたほうが効率的です」
- 「この情報も必要です」
- 「この順番で進めましょう」
などと提案してくる。
さらにAIエージェントが高度になれば、
- 「この作業は私がやります」
- 「これは別のAIに任せます」
- 「ここだけ人間に確認してもらいます」
というところまでやってくる。
そうなると、
- 主:AI
- 従:人間
になっていないか?
そんなことを考えるようになりました。
もちろん、現時点では大げさな話です。でも、AIがどんどん賢くなっていくと、案外そういう方向に進むのではないかと思っています。
「1万体のAI」というニュースを見て
そんなことを考えていたとき、AIを使って数学の難問に挑戦した、というニュースを見ました。
1体のAIが一生懸命考えるのではなく、なんと1万体ものAIエージェントを同時に動かし、それぞれに問題を考えさせ、情報を共有し、検証しながら答えを探していった、というものでした。
ここで、ふと思いました。
「人間が間に入らないほうが効率がいい仕事も、かなりあるんじゃないか?」
もちろん、人間にしかできないことはあります。しかし、
- 情報を集める
- 比較する
- 仮説を立てる
- 計算する
- コードを書く
- 結果を検証する
- 別の方法を試す
といった仕事なら、AI同士で直接やり取りしたほうが速い場合もあるでしょう。
人間が、
- 「じゃあ次はこれをやって」
- 「結果はどうだった?」
- 「じゃあ次はこっちを調べて」
と、一つ一つ間に入る必要がなくなる。むしろ人間がボトルネックになる可能性があります。
だったら「AIを使う方法」を人間が考える必要もないのでは?
ここから、さらに考えが飛びました。
今、多くの会社で、
「この仕事にAIをどう活用できるだろう?」
と、人間が考えています。例えば、
- 「議事録作成をAIにやらせよう」
- 「メールをAIに書かせよう」
- 「営業資料をAIに作らせよう」
といった具合です。
でも、これって少し不思議です。AIを使うことで仕事を効率化したいのに、AIを使う方法を考える仕事は人間がやっている。
だったら逆に、
「会社の仕事を全部AIに見せて、AI自身に仕事の分担を考えさせたらどうなるんだろう?」
と思いました。
AIマネージャーという発想
例えば、会社の中に「AIマネージャー」がいるとします。AIマネージャーは、人間社員とAIエージェントの仕事を全部把握しています。
すると、
- 「この作業はAIのほうが速い」
- 「この仕事は人間がやったほうがいい」
- 「この人は定型作業に時間を使いすぎている」
- 「このAIは成果が悪いので別のAIに変更しよう」
- 「この2つの仕事は統合したほうがいい」
といった判断をする。つまり、
人間とAIの仕事の境界線を、AI自身が決める。
今までは、
人間が仕事を設計する
↓
AIに仕事をさせる
だったものが、
人間が会社の目的を決める
↓
AIが仕事を分解する
↓
AIと人間に仕事を割り振る
↓
結果を見て再配置する
という形になるわけです。
AIネイティブな会社なら、もっと自然かもしれない
既存の会社にAIを導入すると、
- 「今までこの仕事は○○さんがやっていました」
- 「この部署の仕事です」
- 「このルールなので変えられません」
という、長年積み重なった事情があります。
でも、最初からAIを前提に会社を作ったらどうでしょう。例えば、
人間1人+AIエージェント50体
という会社です。人間は、
- 何を実現したいのか
- どこまでお金を使っていいのか
- 何をしてはいけないのか
だけを決める。あとはAIが、
営業AIを動かす。調査AIを動かす。開発AIを動かす。経理AIを動かす。
さらに、それぞれのAIを管理するAIがいる。もしかすると、そんな会社が出てきても、それほど不思議ではありません。
「AIに仕事を奪われる」とは少し違う
AIの話になると、
「AIに仕事を奪われる」
という話がよく出てきます。でもおっさんは、少し違う形もあるのではないかと思っています。
仕事そのものがAIに置き換わるだけではなく、「仕事の割り振り方」そのものがAIによって変わる。ということです。
今までは人間の上司が、
「○○さん、この仕事お願いします」
と指示していました。それが、
「AIマネージャーが人間とAIに仕事を割り振る」
という世界になる。そうなると、人間の管理職の役割も変わってしまいます。
結局、人間は何をするのか
ここまで考えると、少し怖くもなります。
AIが仕事を考え、AIが仕事を分担し、AI同士で相談し、AIが結果を検証する。では、人間は何をするのか。
おっさんには、ここはまだよく分かりません。
ただ、少なくとも、
「AIに何をやらせるかを人間が細かく指示する」
という現在の形は、ずっと続くとは思えません。
人間はもっと上流に移動して、
- 「何を実現したいのか」
- 「何を大切にするのか」
- 「何をしてはいけないのか」
を決める。そして、その目的のためにAIが組織を動かす。そんな世界になるのかもしれません。
「主従関係」はどうなる?
最初に感じた、
- 主:人間
- 従:AI
という関係。
もしかすると将来は、
- 主:人間、従:AI
- 主:AI、従:人間
でもないのかもしれません。
人間は「目的」を決める。AIは「方法」を考える。AI同士が協力して仕事を進める。人間は必要なところだけ介入する。そんな関係になるのかもしれません。
ただ、そこで一つ気になることがあります。
「AIが考えた最適な方法に、人間が従うようになったとき、それは本当に人間がAIを使っていると言えるのだろうか?」
AIを使い始めたことで、そんなことを考えるようになりました。まだ答えはありません。もう少しAIを使いながら、考えてみたいと思います。